
岩崎醸造は、2020年12月5日(土)〜6日(日)に開催される山梨県立美術館主催イベント「ミュゼ・ド・ノエル」に参加いたします。
ミュゼ・ド・ノエルでは、岩崎醸造は「この冬に飲んでいただきたいワイン」を販売いたしますので、ぜひ足を運んでみてください。
いらっしゃる際には美術館館内や文学館館内を見学したり、周囲に広がる芸術の森公園の散策するのもオススメ!
そこで今回は、イベントのご案内とともに、山梨県立美術館、山梨県立文学館の見所をお伝えできればと存じます。
- ・ミュゼ・ド・ノエルについて
- ・山梨県立美術館について
- ・山梨県立美術館を歩く
- ・【見所1】ミレー館
- ・おうちで美術館
- ・【見所2】特別展について「栗田宏一・須田悦弘展- Contentment in the details -」
- ・山梨県立文学館について
- ・山梨県立文学館を歩く
- ・【見所1】常設展
- ・おうちで文学館
- ・【見所2】展覧会
ミュゼ・ド・ノエルについて
ミュゼ・ド・ノエルは、山梨の名産やクリスマスらしい物やワークショップなどを体験できるイベント。
山梨県立美術館では例年1万人を動員するミュゼ・マルシェというイベントを開催していますが、今年はコロナウイルスの影響で縮小し、ミュゼ・ド・ノエルとして開催いたします。
岩崎醸造は、このミュゼ・ド・ノエルに「この冬おすすめのワイン」を出品いたします。
コロナ対策を行いつつ運営いたしますので、皆様もご協力していただきつつ楽しんでいただければと存じます。
<ミュゼ ド ノエル>
日時:2020年12月5日(土)、6日(日)10:00~16:00
場所:山梨県立美術館 館内
料金:入場無料
出展者など詳しい情報はこちら
山梨県立美術館について
山梨県立美術館は1978年の開館以来、ジャン=フランソワ・ミレーの《種をまく人》をはじめ、ミレーやバルビゾン派の作家、ヨーロッパの主要な風景画家、そして山梨ゆかりの作家や日本の近現代作家の作品収集に注力しています。収蔵品の総点数は現在約1万点。コレクション展では年4回展示替えを行っています。
入館時間 | 9:00-17:00(入館は16:30まで) |
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休館日 | 月曜日(祝日の場合はその翌日) 祝日の翌日(日曜日の場合は開館) 年末年始、その他臨時開館・休館あり |
観覧料 | コレクション展 一般520円税込 特別展 一般1,000円税込 ほか 詳しくはこちら |
アクセス | 山梨県甲府市貢川1-4-27 ■バスの場合 甲府駅バスターミナル(南口)1番乗り場より 御勅使(みだい)・竜王駅経由敷島営業所・大草経由韮崎駅・貢川(くがわ)団地各行きのバスで約15分、「山梨県立美術館」下車。 ■自家用車の場合 駐車場はありますがイベントや文学館の講堂などでセミナーなどがある場合は満車になりやすいです。 |
お問い合わせ、HP | TEL:055-228-3322 HP |
SNS | インスタグラム ツイッター Facebook |
山梨県立美術館を歩く
山梨県立美術館館内を、広報担当の五味勇二さんに案内していただきました。
館内に入ると体温を自動検温され、平熱の場合は健康状態などをチェックするシートを渡されます。
その紙に必要事項を記入し、受付に提出。観覧料を支払い、いざ見学スタート!
【見所1】ミレー館
エントランスの階段を登るとミレーなどの《コレクション展A ミレー館》が現れます。
五味 今現在、ミレーの作品を約70点収蔵しています。油彩画が12点(うち1点は現在貸出中)で、この油彩画は常時ご覧いただけるようになっています。
白石 壁が赤くなっていますね。
五味 この展示室は2009年にリニューアルしました。その特徴の一つがこの赤い壁で、向こうに見えるバルビゾン派の展示室は緑の壁になっています。通常、美術館は白い壁をイメージされると思うのですが、この展示室は昔ミレーが出品していたフランスの展覧会の壁の色を再現して深みのある赤色にしております。
白石 あちらに見えるのは《種をまく人》ですね。
五味 はい。《種をまく人》は山梨県立美術館が最初に収蔵した作品です。農民が大地を力強く踏みしめながら種をまいている作品です。当時は農民の姿といっても現実から離れた優雅な姿で描くのが常で、現実の農民をこのように堂々と描いたのはミレーが初めてだとも言われています。フランスの二月革命の時代に描かれていたものですから、「これは素晴らしい作品だ」という一方で「これは農民が力を得て、ブルジョワジーを倒しにきているのではないか」という賛否両論がありました。
▲ジャン=フランソワ・ミレー《種をまく人》
白石 肖像画としては妻・ボーリーヌが描かれていますね。生計を立てるために裕福な階級の絵も描いていたそうですが、《部屋着姿のボーリーヌ(トマ=アンリ美術館所蔵)》は僕の好きな絵の1つです。ボーリーヌを描いた絵からはミレーの温かい眼差しを感じることができます。
五味 ボーリーヌは仕立て屋の娘でした。山梨県立美術館では《ポーリーヌ・V・オノの肖像》を収蔵しており、表情などが精巧に描かれていますが、《種をまく人》をご覧になってください。ミレーが表情などよりも働いている姿そのものに焦点を当てて農民を描いていることがわかります。
白石 ちなみに、《種をまく人》の壁が赤色でないのは何故でしょう。
五味 これはコレクションの中でも最も重要な作品であることをお客様に視覚的に伝えるためなんです。さて、こちらの《角笛を吹く牛飼い》ですが、これは山梨県立美術館の開館40周年記念収蔵作品になります。ミレーの中でも明るい色彩が目を引く作品です。大気が見せる微妙な表情を鋭敏な感覚で捉え、夕焼けを様々な色彩で表現しています。
白石 僕は、夕陽を見るのが好きなのでこの絵は好きですね。ブドウ畑で農作業が終わった後に見る夕陽と同様の暖かさを感じることができます。
五味 《落ち穂拾い、夏》はミレーの代表作の一つです。実はこれは農作業風景だけを描いた作品ではありません。
白石 そうなんですか?落ち穂拾いは、ミレーは何度も取り上げた主題ですよね。
五味 ミレーは生涯に3度、四季連作を制作しますが、《落ち穂拾い、夏》は最初の連作の「夏」にあたります。バルビゾン村に移り住んだミレーは、旧約聖書の一節に登場する落ち穂拾いの行為を見て深く感銘を受けたとされます。(※)
白石 旧約聖書には、ブドウに関しても同様の一節があります。作物を自らの努力の獲得物というよりも、与えられた恵みとして感謝して受け取る時、自然とそれらも必要とする人たちの存在が思い浮かぶのでしょう。(※)
五味 ミレーは背景の大地主の麦の山と、手前の女性たちを対比して描いているように思えます。《夕暮れに羊を連れ帰る羊飼い》も聖書の中では「聖なる賢者」として書かれている羊飼いを、神聖な雰囲気で描いています。このような作品を経て、晩年は、バルビゾン村とフォンテーヌブローの森を区切る石垣を描いた《古い塀》にみられるような風景画を描いています。
※旧約聖書 申命記より 第24章19〜21節
19 あなたが畑で穀物を刈る時、もしその一束を畑におき忘れたならば、それを取りに引き返してはならない。それは寄留の他国人と孤児と寡婦に取らせなければならない。そうすればあなたの神、主はすべてあなたがする事において、あなたを祝福されるであろう。
20 あなたがオリブの実をうち落すときは、ふたたびその枝を捜してはならない。それを寄留の他国人と孤児と寡婦に取らせなければならない。
21 またぶどう畑のぶどうを摘み取るときは、その残ったものを、ふたたび捜してはならない。それを寄留の他国人と孤児と寡婦に取らせなければならない。
Deuteronomy 24:19-22(King James Version)
19 When thou cuttest down thine harvest in thy field, and hast forgot a sheaf in the field, thou shalt not go again to fetch it: it shall be for the stranger, for the fatherless, and for the widow: that the Lord thy God may bless thee in all the work of thine hands.
20 When thou beatest thine olive tree, thou shalt not go over the boughs again: it shall be for the stranger, for the fatherless, and for the widow.
21 When thou gatherest the grapes of thy vineyard, thou shalt not glean it afterward: it shall be for the stranger, for the fatherless, and for the widow.
22 And thou shalt remember that thou wast a bondman in the land of Egypt: therefore I command thee to do this thing.
五味 さて、ミレー館は、バルビゾン派の作品に続いています。ピエール=エティエンヌ=テオードール=ルソー《フォンテーヌブローの森のはずれ》は美しい作品です。フォンテーヌブローの森は開発が入りそうになった場所でもあり、ルソーとミレーはこの森を守るために、環境運動を行いました。(※)
※土地開発に反対したミレーとルソーらバルビゾン派の画家たちを筆頭にした抗議運動のおかげで、1861年に一帯は「芸術保護区」に制定。世界で最初の自然環境保護運動を唱え実らせた功績として、フォンテーヌブローの森の入口には、ミレーとルソーの記念碑が置かれました。
五味 コレクション展Bはテーマ展示室となっておりまして、年4回入れ替えを行っています。収蔵品を多彩なテーマで紹介しておりまして、今回は秋を主題にした作品を展示しているほか、甲府市出身で1970年以降ニューヨークを拠点に活動している佐藤正明を特集しています。芸術の森公園にある彫刻の《ザ・ビッグ・アップル No.45》もその作品の一つです。
五味 その他、コレクション展Cには甲府市出身の作家である萩原英雄の作品やコレクションを紹介する《萩原英雄記念室》があります。
五味 作品に関する解説を聴きながら見学したい方には、音声レシーバーを貸し出ししております。
おうちで美術館
山梨県立美術館では、バーチャル見学ができるので、ぜひ見てみてくださいね!
【見所2】特別展について「栗田宏一・須田悦弘展- Contentment in the details -」
山梨県立美術館では、2020年11月14日(土)~2021年1月31日(日)の間、「栗田宏一・須田悦弘展- Contentment in the details -」を開催していらっしゃいます。
栗田さん、須田さん共に山梨県笛吹市の出身です。
栗田さんは、さまざまな土地を旅し、自分の手で一握りの土を集め、乾燥させた作品を展示。
須田さんは、朴の木を削り彩色した植物の彫刻を、空間にさまざまなかたちで展示していました。
展示は4つの部屋で行われています。
・第1室:「山梨」をテーマとして本展のために制作された作品と、2人の原点とも言える作品を展示。
・ 第2、第3室:それぞれ個別に1室を使い、インスタレーションを展開。
・第4室:2人の共通点と相違点を対比的に紹介。
以下、見学した白石の感想と撮影した写真。
白石 栗田さんの作品は、土を丁寧に乾かし、余分なものを取り除いただけのものですが、まずその数に驚きます。どれほどの時間をかけてこの作品に対してエネルギーを傾けたのか。そして、身近にある土ですがそれらがいかに多彩で、唯一無二の美しさがあるのかに気付かされました。採取された土には、それぞれ土地の名前が大字まで書かれているので、自分が住んでいる近くの土地を見つけ、他と比較する楽しみがあります。
白石 須田さんの彫刻は、まずそれ自体が非常に精密で、本物がそこに存在するかのようでした。また、彫刻が構造物の中に意図的に配置されることによって我々に新しいインスピレーションを与えてくれます。
フラッシュは不可ですが、撮影可能とのことなので、ぜひ皆様も足を運んでインスタグラムなどで体験を共有してみてください!
▲須田悦弘《朝顔》
▲栗田宏一《SOIL LIBRARY / YAMANASHI》
▲須田悦弘《芙蓉》
▲栗田宏一《SOIL LIBRARY / JAPAN 1000》
<作家インタビュー(栗田宏一・須田悦弘)>
山梨県立文学館について
山梨県立文学館は1989年に開館し、樋口一葉、芥川龍之介、太宰治、飯田蛇笏、飯田龍太など山梨出身・ゆかりの文学者の原稿や愛用品を展示しています。
※「まるごと林真理子展」は終了しました。
入館時間 | 展示室 9:00-17:00(入室は16:30まで) 閲覧室 ※新型コロナウィルス感染拡大防止のため、開室時間を短縮しています。 |
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休館日 | 月曜日(祝日の場合はその翌日) 祝日の翌日(日曜日の場合は開館) 年末年始、その他臨時開館・休館あり |
観覧料 | 常設展 一般330円税込 ほか ※内容や年齢によって異なります。詳しくはこちら |
アクセス | 山梨県甲府市貢川1-5-35 ■バスの場合 甲府駅バスターミナル(南口)1番乗り場より 御勅使(みだい)・竜王駅経由敷島営業所・大草経由韮崎駅・貢川(くがわ)団地各行きのバスで約15分、「山梨県立美術館」下車。 ■自家用車の場合 駐車場はありますがイベントや文学館の講堂などでセミナーなどがある場合は満車になりやすいです。 |
お問い合わせ、HP | TEL:055-235-8080 HP |
SNS | インスタグラム ツイッター |
山梨県立文学館を歩く
【見所1】常設展
五味 常設展示「山梨ゆかりの作家と作品」では樋口一葉、山本周五郎、井伏鱒二、太宰治ら県内出身の文学者やゆかりの文学者に関する資料を幅広く展示しています。
白石 甲府を歩いていると太宰治ゆかりの場所が数多く見つかりますね。新婚生活を送ったのが甲府でしたっけ?
五味 はい。結婚した方が、石原美知子さんという甲府の方でした。師匠である井伏鱒二を通じての結婚だったそうです。文学館はまた、飯田蛇笏、飯田龍太そして芥川龍之介にも力を入れています。
白石 飯田蛇笏は、私の故郷でもある松山市出身の俳人で母校の先輩でもある高浜虚子に師事した山梨の俳人ですね。少し縁を感じます。しかし、芥川龍之介の資料は何故、文学館にあるのでしょう。
五味 実は、この山梨県立文学館は芥川龍之介の資料数では日本でも指折りで、神田神保町で古書店を経営していた山梨県出身の岩森亀一さんのコレクションを収蔵しております。子供の頃の日記や作文もあり、有名な「羅生門」「河童」などの下書きは原稿用紙5,000枚にものぼるボリュームです。
白石 大変価値のあるものなのでしょうね。高校の時、資料書でみたことがあるようなものもありますね。
五味 「たけくらべ」の樋口一葉、「赤ひげ」の山本周五郎、「赤毛のアン」の村岡花子など、山梨ゆかりの作家の貴重な随筆資料を展示しています。
おうちで文学館
山梨県立文学館では、バーチャル見学ができるので、ぜひ見てみてくださいね!
【見所2】展覧会
文学館では特設展・企画展を年3回開催しています。企画展がどれくらいの月日をかけて準備しているのか伺うと、なんと2〜3年だそうです!!ヒェー!
<まるごと林真理子展>
2020年9月11日(金)~11月23日(月・祝) ※現在は終了しています。
・マリコ書房 – 林真理子YouTubeチャンネル
以下、見学した白石の感想。
白石 ワイン県副知事でもある林真理子さんの企画展。生まれたところから順序立てて、歴史を振り返るように資料を展示しています。林さんの人柄がビシビシ伝わってくる展覧会でした。高校生の頃「星影のステラ」を読んだのですが、もう一度読みたくなりました!
<飯田龍太展 生誕100年>
2021年1月23日(土)~3月21日(日)
おもな展示資料
○ 原稿、草稿
・飯田龍太 「後山の記」原稿、「旅歳時記」原稿、「中村汀女の句」原稿、『山の木』草稿、『今昔』草稿
・井伏鱒二「飯田龍太の釣」原稿
・金子兜太「高潔な句風、突然の俳壇引退の謎」原稿 など
○書簡
・飯田龍太宛 井伏鱒二書簡
・飯田龍太宛 金子兜太書簡 など
○書画
・軸装「水澄みて四方に関ある甲斐の国」、「一月の川一月の谷の中」、「紺絣春月おもく出てしかな」
・色紙「千里より一里が遠き春の闇」、「大寒の一戸もかくれなき故郷」、「黒猫の子のぞろ ぞろと月夜かな」
○愛用品
・カメラ(二眼レフ)、釣り道具、落款、パナマ帽、眼鏡など