レストランでワインをボトルで注文すると「ホストテイスティング」を促されることがあります。ホストテイスティングはワインを注文した際の一種の簡単な作法です。この記事を読むだけでスムーズに食事を楽しむことができるので、ぜひ読んでみてください。

  • ・ホストテイスティングとは
  • ・ホストテイスティングの手順
  • ・できる人のホストテイスティング

ホストテイスティングとは

ホストテイスティング

ホストテイスティングとは、ホスト(主催者、接待側)が、
①「注文したワインが間違いなく運ばれてきたか」を目視で、
②「ワインがあるべき姿であるか」を味わいで確認することです。

①「注文したワインが間違いなく運ばれてきたか」を確認する

ワインには、例えばLIGER-BELAIR「Vone Romane Clos du Chateau」を注文したら「La Romanee」が運ばれてきたなど、ワイン名が同じで生産者が違う、または生産者は合っているがワインが違うということがあります。
このようなワインの間違いを避けるために、ボトルを確認する必要があります。そして、ワインにはヴィンテージや生産者が違いでボトルの料金が全く異なることもあります。信頼しているお店でも人間が接客している以上、間違いは起こりうるのできちんと確認しましょう。
もし、間違っていたらどこが間違っているか、お店の方に指摘してください。

②「ワインがあるべき姿であるか」を確認する

これは「ワインが適切に管理され、劣化していない」ことを確認します。そのために、ワインのコルクや香りを確認します。

テイスティング能力が問われているのではなく、ワインの状態を了承するために行うだけです。もちろん、ホストだけでなくお店側も状態を確認するので安心してください。

ワインに詳しい方だと、「ナチュールワインは、健全とも言えないワインもあるのでは?」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。確かに、その可能性は大いにありますが、それが「ワインがあるべき姿である」と判断し「その状態を了承」する動作となります。もし素直に健全と言えない状態が考えられるワインであれば、ソムリエから説明があるかと思います。

もし「ワインがあるべき姿にない」「極端に劣化している」と思われる場合は、お店の方に「少し劣化しているように思うのだけれど、どうでしょうか?」と質問してみてください。

気をつけていただきたいのは、「自分が好みのワインかどうかは全く関係ない」ので、好みでないと感じても抜栓後に注文の変更することはマナー違反となりますので注意してください。

ホストテイスティングの手順

ホストテイスティングの手順をポイントと共に、ご説明します。

1. ホストがワインラベル(エチケット)をチェックする

ホストテイスティング

ソムリエがワインをホスト側に運んできます。ホストは、ワインラベル(エチケット)の「生産者」「銘柄」「ヴィンテージ」「産地」をチェックします。

2. ソムリエがワインを抜栓する

ホストテイスティング

ラベルが間違いがない事を確認後、ソムリエはワインボトルを抜栓します。この時、ソムリエはホストから了承を得て、ワインのテイスティングを行うことがあります。

3. ホストがワインの状態をチェックする

ホストテイスティング

ホストのグラスにワインが少量注がれるので、ワインの状態をチェックしてください。

以下の3点が確認できればokです。
①色合い:濁りや異物がない。
②香り:異臭がない。
③味わい;ワインを一口含み、香りや味わいに異常がない。
香りを嗅ぐ際にグラスを回す場合は右利きなら反時計回し、左利きなら時計回しに回しましょう。難しい場合は、テーブルの上で手を添えて回しても構いません。

4. ソムリエにワインを注いでもらう

確認後、「大丈夫です。」「お願いします。」などと伝え、ゲスト側からワインを注いでもらいましょう。

以上の手順で、ホストテイスティングは終了です。

ちなみに、ワイン初心者の方や、鼻の調子が悪く香りや味わいの異常を判断することが難しいと感じる際は、ソムリエにテイスティングを全てお任せすることもできます。ワインラベルの間違いや状態が良好でないと気付いたら、ソムリエが確認後であっても遠慮をせずにソムリエに伝えましょう。

ソムリエが再度確認し、必要があればワインを取り替えてくれます。

デキる人のホストテイスティング

ホストテイスティング

ホストテイスティングは一つの作法であると言いましたが、この作法のこなし方いかんによってはお店側やゲストの方があなたを見る印象も変わります。最後に、「デキる人のホストテイスティング」と題して、あなたがより好印象に見えるであろうホストテイスティングの例をご紹介します。

1. 会話に忙しくても、テイスティングをきちんと行う

ワインに限らず美味しいものをゲストに振舞うのはおもてなしのひとつ。ホストテイスティングをきちんと行うことで、責任を持ってワインを選ぼうとしているあなたの姿勢がゲストに伝わるはずです。

2. さり気なくワインを褒める

テイスティングの後に「美味しい」の一言を言うだけで、一生に食事をしている方の期待感が上がるだけでなく、サービスするお店側の肩の荷も降りるというもの。特に、お店の方にワインを選んでいただいた時は「ありがとう」と伝えるのを忘れないようにしましょう。それだけで、あなたの周りの空間が誰にとっても心地よいものになります。

3. よりワインが美味しくワインが飲める状況を作る

ワインを飲んで、よりワインが美味しく飲める可能性があるならばデキャンタージュやグラスなどをソムリエに相談するのも一つの方法です。例えば、「このシャンパーニュ はフルートグラスではなくて、ブルゴーニュグラスで飲みたいのだけれどどうかな」「香りを開かせるために、デキャンタージュしてもらえるかな」などです。ただし、お店の都合もあるので、無理なお願いは禁物です。ゲストをおもてなしするのを最優先に考えつつも、周囲への配慮を欠かしてはホストは務まりません。